新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第四弾 「過ち」 (間宮 篤)
さて、ちょっと間を空けまして、更新を再開しますよっと。
「過ち」 (間宮 篤)
この小説を位置づけるとしたら、それはミステリなのか、いや、ホラーなのか、といった具合の読後感を味わった。非常に短編で、ふわっとしたレビューしか書き記せないのが残念なほど、この作品は極めて必要十分に描かれている。人間関係はほとんど廃され、人物の感情にもフォーカスされていない。ただ淡々とした、「出来事」に終始した作品だ。
過去、安定して高水準なミステリを配信し続けてきた間宮氏のホラーテイスト。そのラストシーンでぞっとさせられること間違いなしである。本作と一人の男の独白、ただそれだけで済ませていいのか。読後、極めて不安定な気分になる秀作であると言えるだろう。この短さであることが唯一にして最大の短所か、この必要十分な情報量に裏付けられた足場のしっかりした物語展開を、もっと読みたかった、と思うのは酷だろうか……。
レビュー:此礼木
aBre vol.10「記念日」
aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。