あぶれん坊万歳!!

エンタメ同人誌aBreのブログです。2015年5月4日第二十回文学フリマ東京(C-32)に参加します。

ショッピングバッグのなかみ(牛濱)

こんにちは。aBreの牛濱知昭です。

好天の続いたGWが明け、今日は自宅に引きこもるつもりです。

「第二十回文学フリマ東京」から5日たちました。

会場より発送した荷物をさきほど受け取り、荷解きをしています。

今回の文フリで購入した品物がすべて、手元にそろいましたので

購入動機などのコメントを挟みつつ、紹介したいと思います。

 

以下、『タイトル』(第二十回文学フリマ ブース番号・ブース名)

文フリに行ったら新作をチェックしたい

『物語いくつか』(D-31・汽水域)
八月十九日氏による掌編の詰め合わせで、

名刺大のカードに1編ずつプリントされています。

カードは手元に置きたいような

誰かへの贈り物にそっと添えたいような、悩ましい気持ちです。

 

『若草かおる青い花(帰ってきた青い花8)』(A-30・帰ってきた青い花
以前の文学フリマで『三十歳(帰ってきた青い花特集号〈通算7号〉)』を購入しました。
テーマにほいほいとつられての購入でしたが、

掲載作品すべてに(すべてにです)うなり、リピーターとなりました。

シンプルでかれんな装丁にもコレクション魂をくすぐられます。

 

こんな雑誌をつくってみたい、雑誌づくりを学びたい

『京都ジャンクション 第七作品集 勾配』(A-22・京都ジャンクション)
特定のジャンルを定めず、メンバーが書きたい作品を書く、というコンセプトに

学ぼうと思ったことが、まず大きな購入の動機です。

それから「勾配」というテーマの設定に、そこからどう展開するのか

好奇心を刺激されました。

 

『よいとな 第4号(特集 縞々)』(E-01・よいとな編集部)
とても端正であるなあと思います。

松花堂弁当を前にしたような、うっとりした気持ちになります。


『深海』(C-51・女流文芸サークル【鉄塔】)
活字と写真作品のバランスをお手本にしたい。

前号より小説がボリュームアップしていて、たいへん読み応えがありそうです。

 

『妄点 vol.8「失われたSFを求めて」』(B-37・大文妄)
「すこしふあんてい」な作品が載っています、とブースにて説明を受けました。

毎回、命を削って印刷・製本を仕上げて参戦していらっしゃるようですが、

そこ含めて安定感あります。

 

特集テーマ、サークルのコンセプトに惹かれ購入

『Clock vol.9』(ウ-56・文芸サークルclock)
aBreブースにお立ち寄りいただいたご縁で訪問しました。

こちらのサークルは東京理科大学野田キャンパスで活動中。

理系の「文芸部」がどんな作品を書くのかなーという興味から購入にいたりましたが

なんと『理科系の男たち(vol.1)』という

「本誌が理系っぽくないので理系っぽい小説を別冊にした」(意訳)

冊子を無料でつけてくださいました。

 

『絶対移動中 vol.17 悪い人』(D-52・絶対移動中)
テーマ買いです。

ボリュームもあって、きっとたいへん読み応えがあるに違いない。

 

『華々』(C-44・鶴見大学文芸部)
この大学に地の縁がありまして、

その興味もあって数号前から新刊を購入しています。

 

『Zoo 創刊号』(エ-19~20・サイブックス「ZOO」編集部)
ブースで手にとり、冒頭のエッセイにどうにも他人事と思えない何かを感じたので購入しました。

 

『ミント 創刊号』(E-03・薄禍企画)
創刊号・アンソロジー、そしてがっつり活字に惹かれ購入。

 

『世界史C』『日本史D』(D-01・史文庫~ふひとふみくら~)
世界史の方に、先輩の寄稿が掲載されるとあって購入にうかがいましたが、

あまりの分厚さになんかそそられてしまって、両方とも購入しました。

 

『7文字でつながる連作超短編を書こう! 2015』(イ-01~02・雲上回廊)
500文字・50人ができることが気になって。

 

以上、私のショッピングバッグの中身の公開でした。

aBreブースの売り子をしてみての感想などもブログで公開したいと

考えています。そのときもぜひ覗いてみてください。

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購入した品物。とちゅうから配置をあきらめた

第二十回文学フリマ東京でvol.12を販売します

おやすみなさい。aBreの牛濱知昭(今回の編集)です。

今日は「釣り銭を用意する」というきわめて重要な仕事を終え、

硬貨の重みににやつきながら帰ってきました。

この小銭たちが、新刊といっしょにたくさんの方の手元に

旅立っていく様子を想像すると、胸の高鳴りが抑えられません。

夢を見るくらい自由。

 

今回、aBreはvol.12(新刊)を販売します。

まず「aBre(雑誌名)って何」、あるいは「なんだっけ」という疑問のために

5W1Hでざっくり申し上げると

WHO「かつて北関東のとある大学の文芸部に所属していた縁を持つメンバーたちが」

WHAT「エンタメであることを意識した読み物を」

WHEN「文学フリマ出店に合わせるかたちで(具体的にいうと半年に一度)」

WHERE「関東のあちこちで(たまにスカイプにおいて)」

WHY「なぜ? なぜなんだろう。私が知りたい」

HOW「さすがに血反吐は吐かないけど、ちょっとおなかの調子がよくなくなるくらいがんばって」

つくっている雑誌です。サークル名もaBreです。

 

今回のテーマは「青春怪談」、3作品の読み切りを掲載しています。

内容の紹介について、文学フリマWebカタログより転載します。

 

生活のちいさなヒビに滑り込んだ「なにかおかしなこと」に

「青春」の片隅で自分なりの解決を探る主人公たちの姿を描いた

ささやかな「怪談」です。

ぜひ、お手に取って中身をご確認ください。

以下が収録作品のあらすじとなります。

 

一〇四号室の○○さん(秋梨)

「あ、見える?」引っ越しの荷解きを興味深そうに眺めていた「彼」。

ときにおせっかいに、ときにあつかましく、「私」の生活に居座ることに。

そんな中、部屋に届いた間違い郵便が、「私」と「彼」の関係を変えていく。

 

Call up Here.(千沢浅俊)

とつぜん吹き荒れはじめた「雨砂」は、

風景を覆い、視界を覆い、生徒たちをのみこみ、

「綾乃」に「アンノウン」との邂逅をもたらした。

(ゴールなんてないんだろうな。)それでも彼女は砂にまみれ、ひた走った。

 

バドミントン部の幽霊部員(穂坂一郎)

母校のバドミントン部の顧問となった「先生」。

部員たちの姿が、彼女のこころを自身の過去へと引き戻す中、

存在を示しはじめる「幽霊部員」。

彼女はその正体と向き合い、あの時できなかったゲームをする。

 

これだけのあらすじを書くのに30分もかかりましたが、

それは作品が長大で難解だからではなく、私が話をまとめるのが下手だからです。

作品はいい意味でさくりと読める、親切設計となっていますので

お気軽にお手に取っていただき、まずはぱらぱらと眺めてみてください。

当日、お読みいただいたその足で、店番をしている私を小突きにいらっしゃっていただくのも悪くないです。(「あらすじとぜんぜん違うじゃん!」)

 

第二十回文学フリマ東京(2015年5月4日・東京流通センター

C-32 aBre(アブレ)でお待ちしています。

《牛濱》 

 

新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第一弾「トマトジュースしかないけど」 (牛濱知昭)

 

 諸事情により、「GO AMIGO」のレビューはしません。時間がないんやで? 本人了承済みです。俺の短歌もレビューしません。

 

 っということで、最後です。

 

「トマトジュースしかないけど」 (牛濱知昭)

 

 名状しがたく、救いようもない、そんな読後感を抱いた。テンションは平均より下をずっと横ばいで推移していく印象だった。ただ、いつだかの夕暮れ、そう、夏の気怠い暑さの中で夕日刺す部屋の中、そこでうたた寝するような、ダウナーな空気が満ちあふれていた。そう、私は感じた。

 

 

 トマトジュースしかない。その意味合いを考えるだけでも、私はこのレビューを書く時間を費やしてしまうだろう。ただ一つ言えるのは、トマトジュースしかないその部屋の、ほんの瞬きのような時間、それはただただ、救いがたいばかりなのだ。

 

 本人の知らない記念日。その記念日を記念日たらしめた人、その人と交流できない。そうして、取り返しさえ付かない。この物語には何かタグ付けやレッテル貼りは出来そうにない。ただ、この空気を情景、これらばかりが見事の一言である。

 

 

 

 

 

 

aBre vol.10「記念日」

5月5日(月・祝) 第18回文学フリマ東京流通センター

aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。

 

 

 

新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第四弾 「過ち」 (間宮 篤)

さて、ちょっと間を空けまして、更新を再開しますよっと。

 

 「過ち」 (間宮 篤)

 この小説を位置づけるとしたら、それはミステリなのか、いや、ホラーなのか、といった具合の読後感を味わった。非常に短編で、ふわっとしたレビューしか書き記せないのが残念なほど、この作品は極めて必要十分に描かれている。人間関係はほとんど廃され、人物の感情にもフォーカスされていない。ただ淡々とした、「出来事」に終始した作品だ。

 

 過去、安定して高水準なミステリを配信し続けてきた間宮氏のホラーテイスト。そのラストシーンでぞっとさせられること間違いなしである。本作と一人の男の独白、ただそれだけで済ませていいのか。読後、極めて不安定な気分になる秀作であると言えるだろう。この短さであることが唯一にして最大の短所か、この必要十分な情報量に裏付けられた足場のしっかりした物語展開を、もっと読みたかった、と思うのは酷だろうか……。

 

レビュー:此礼木

 

aBre vol.10「記念日」

5月5日(月・祝) 第18回文学フリマ東京流通センター

aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。

新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第三弾 「なんでもない日に起こったこと」(垂崎依都)

 

「なんでもない日に起こったこと」(垂崎依都)

 まさかこういう結末じゃなかろうな、という結末に落とし込まれる、非常に素直なエンタメ小説が投じられた。「記念日」というテーマを与えられたとき、記念日を描くことは容易だが、何でも無い日をあえて書くという発想は一筋縄ではいかない。当然、その上テーマは消化している。

 この小説を読んだ読後感は、かなりスッキリとしたものだった。まさにエンタメである。ある種のコメディの要素も盛り込みつつ、恋愛もある。加えて言うならば、謎を提示することで溜まる読者のフラストレーションもしっかりとラストで消化させ、実に爽快だ。この作品を三作目という位置づけにしたのはまっとうだろう。

 

 下手なひねりをきかせたボール球に手を出すより、こういったど真ん中ストレートのエンタメ小説こそ、垂崎氏のお家芸なのかもしれない。

 

レビュー:此礼木

 

aBre vol.10「記念日」

5月5日(月・祝) 第18回文学フリマ東京流通センター

aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。

新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第二弾「シンシンセツセツ」(秋梨:作)

 

 Load to Bunfree企画です。そういえばあと今日含めて3日しかないのに6作品レビュー出来るんですかね。一日2作品ペースなので、一日でもオトしたら終わりですな。はっはっは。

 

 シンシンセツセツ」(秋梨:作)

 読後感としては、切なさがまず真っ先に立った。次いでその切なさに押し出される形で肺から空気が口を介して漏れる。そんな風景だった。

 秋梨作品には一定の「軽さ」があると思っている。それは決して悪いことではない。軽さの由縁は、おそらく主人公達の後ろに作者自身が色濃く写っていることだろうと思う。秋梨作品の主人公達には、少なからず秋梨氏自身がちりばめられている。このことがどう作用しているかというと、主人公達の「軽さ」が地に足着いているという特徴だ。

 そんな中、今作では初っぱなから地に足の着いた「軽さ」が発揮されている。地の文での独白、登場人物同士の掛け合い。その全てがリズミカルだ。テンポ良く読める。

 

 では、テンポ良く読んで終わりなのか。時として秋梨作品ではその読みやすさに終始し、それで一貫して終わっていることがある。しかし本作では少し違う。感動を呼ぶコメディにありがちな、序盤でのアップテンポからの急降下、という展開ではない。状況はコメディなのに、どこかアンニュイ。そんな空気が、特に主人公から感じ取られる。その上で状況が非コメディに移り変わった瞬間、その空気と場面が一致する。その展開は圧巻である。

 

レビュー:此礼木

 

aBre vol.10「記念日」

5月5日(月・祝) 第18回文学フリマ東京流通センター

aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。

新刊Vol.10だいたい400文字レビュー! 第一弾「新生」(穂坂一郎:作)

 

 みなさん、Load to Bunfreeですよ。文学フリマへの道、ですよ(あえての和訳)。

 

 そういうわけですので、5/1、2、3、4と数えればあっという間に5/5ですよ。

 うかうかしていられませんね。ですので、今回はざっくりとaBreの新刊であります「aBre Vol.10~記念日~」の収録作品のレビューを打ってみようと思いまして、思い立ってからほんの十分くらいでこの文章を書いている次第です。

 

 昔の人は言いました。「四の五の言わず、誰が一番強いか決めればえぇんや」。

 そうです、考えている暇はありません。さっさとレビューしてしまいましょう。そうしてみなさんを買う気にさせてしまいましょう。

 

 

 「新生」 穂坂一郎

本作は果たして何の「新生」であるのかがキーとなる。というか、それ以外に言いようが無い。本作の作者は私の読後感を想定して執筆をしたのだろうか。一言で言うなら、胸くそが悪い。そんな話だ。人によってはきれいに見える物語なのかも知れないが、私こと此礼木が読む限り、その印象はない。ただひたすらにキモチワルイ。

 本作はSFに近い世界観で語られる、とあるカップルの話だ。ある種奇跡的な科学技術によって変革した、ある「生物としての営み」の結果起こった、一つの出来事の話だ。ホラーではないし、本格的なミステリでもなかろう。強いて言うなら最後のシーン、ここにミステリ的な要素が盛り込まれてはいるものの、その技巧が生み出す結果は、私にとって極めて不愉快なものだった。

 

ただひたすらな純愛、その言葉に尽きると思う。私にとっては到底理解できない世界観と登場人物の心情であった。その純愛があなたにとってどんな印象を与えるのか、それは一読してみてのお楽しみと言えるだろう。

 

レビュー:此礼木

 

aBre vol.10「記念日」

5月5日(月・祝) 第18回文学フリマ東京流通センター

aBre(C-58)で販売。6作品の読み切りと15首の短歌をご提供いたします。