あぶれん坊万歳!!

エンタメ同人誌aBreのブログです。2015年5月4日第二十回文学フリマ東京(C-32)に参加します。

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:5 批評本

第14回文学フリマ戦利品感想、今回は、あまり得意な分野ではないのですが、批評誌系をいくつか読んでみました。

アートと文学の情報誌chelsea

『chelsea vol.zero』 (缶バッヂつきで¥350、20p)

コンテンツは特集「国語教科書」、一〜二見開きの小説が二本、あとアート・ニュースやブックレビュー、写真。フルカラー、大きめサイズで、ややぴらっとした質感。
小説、堀内幸太「ブーメラン」が大変面白かった。なんてことはない短編なんだけど、巧い。ブックレビューも、ちょっとあんまり見ないラインナップで好印象。それに対し、アートニュースはちょっとメジャーなものばかりという印象。
国語教科書特集は、正直あまり目新しい部分がなかった。「アートと文学」なんて面白そうなことを言っておいてからに、大学文学部誌あたりでみんなやるような特集を、普通にぽんぽんと言葉の断片を置く感じでやるのは、ちょっと勿体ない。
「情報誌」らしさも、もう少しほしいところ。準備号ということなのだと思うので、始動に期待したい。

サークルC

『C 01』 (¥200、32p)

アニメ(ウテナ)論、音楽(ショスタコーヴィチ)論、痴漢論の三本収録の批評誌。この、なんか合っているんだかないんだかな三本が合わさることで、カルチャーでもジェンダーでも思想でもないぎりぎりのラインをいっている。
三人ともそれぞれのジャンルに造詣が深く、また大いに情熱を持って取り組んでいるのだということはよく分かる。2号も期待しています。

……ohisashi「映像・キャラクター・主題と矛盾――『劇場版少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』について」
この冊子の薄さからすると字数制限がかなりあったものかと推測するが、やや筆が走っている部分があった。本編場面の読み取りは非常に丁寧と感じられるだけに、玉に瑕が入るのが残念。
終盤に、背景美術や建築を持ち出しての「不連続」性の考察が入ってきて、やはり映像作品いやアニメならではのことであるので興味深く読んでいたのが、ラストで「エロティシズム」に集約されて、初読時にはちょっと面食らった。読み返してみればそんな話してたっけ。

……緑雨ショスタコーヴィチの墓」
ショスタコーヴィチは聴いたことがないし当時の歴史もちっとも分からない私です。分からないのですが分からないなりに、語られるエピソードや言葉の積み重ねは面白い。音楽読解とはしかし、結構印象で語るのだなぁという感も受けた。時々、比喩の積み重ねがちょっと高く積み過ぎているのではと感じる瞬間がある。タイトルを見た時点でシメ方は明らかだったが、なかなか綺麗に着地してくれたのでにやりとさせられた。
音楽批評、これが初読。

……いいんちょ「痴漢の文化史」
まさかの連載である。痴漢史の本は未だないのだ、だから書く、という使命感がアツい。文章としては、ジェンダー論とフェミニズムを払いのける部分が、警戒する気持ちも分かるがやや冗長。だが全体としては恐れのない文章で、好感が持てる。第一回にあたる本篇で「先行研究」や海外の状況など、語りの下地をしっかり作っており、これからの論の発展にも既に充分期待大である。

横浜国立大学メディアスタジオ

『NOW PRINTING No.2』 (¥400、44p)

とっても贅沢な造り。全体のデザインや使用されるイメージが、ちょいちょい虚をつかれる。本の表紙をぐっと背景に掲げたり、積むにしてもこう積むかとか。こういう快楽は嬉しい。

……特集「雑誌」
結果的になのかもしれないがやや懐古調なような。だが、アイドルオタの話は非常に面白かった。この偏愛と比べちゃうと、「積読」も「カリスマ図鑑」も、もう少し掘り下げたら面白くなりそうだったのにという印象を受ける。「雑誌」とはなにか、その(黄金時代の)面白みとは、という辺りに終始してしまっているような。

……「一般意志2.0」ブックガイド
これ読んだことないんだけど、最初に提示される「要するに」が非常に分かりやすいのですんなりブックガイドへ入っていける。4分類18冊。この手の分野に明るくないが、多分わりと基本的な書物が並べられているのかな? 目立って紹介文の文字数が裂かれている二冊は08年と09年のものだが、今も問題なく通用する書物なのかな?

……コラム「ネット」
「スレタイで振り返る」から始まるのが面白かった。それこそ、そういうスレタイのスレが立っても、にちゃんじゃ単なる羅列で終わっちゃうけれど、そこから発展させていくというのが。冊子全体の中で、良い箸休めになったと思う。

……コラムコンプライアンス系男子」
文章の勝利。いや言ってることも面白いんだけど、最後が尻すぼみ気味なのとかセクハラだのエロだのの微妙なところを渡っていく危うさとかを、文章の軽快さで全然嫌に感じさせない。単純にうまい。

……review
「スポーツ」が入っていることで、単なるザ・サブカルに堕していなくてよいと思う。ただ、どうしても分量が少ないことがあってか、全体に勢いが良すぎると言うか、「知ってる人」が「知ってること」をだーっと書いている文章という感がなくもない。

文責:as

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:4 大学同人

第14回文学フリマ戦利品感想、一夜おいて第四回です。

ずんだ文学

『ずんだ文学 第六号』 (¥500)

大学の文芸部の冊子として、特に人数が多いわけでもなく、金をかけている様子もなく、ここまでやれているのはかなりのものなのではないかと思う。見習いたい。

……特集:創作マニュアルガイド
大塚英志や『ミステリーの書き方』など有名どころから、近年のものやSFジャンルのものまで、27冊のレビューはなかなかの労作。時にはピリリと辛いコメントもつけつつ、5項目5つ星の採点でぱっと見も分かりやすい。ありがたい特集でした。どれか読んでみようかなあと思えた。

……企画創作「ストーリーメーカー」
大塚英志の「30の質問」に乗っ取った形で創作してみた、という企画。
前にbnkrでもこのたぐいの企画をやっていたが、雑誌の特集としてはなかなか、サークル員の腕試しにもなって面白いはず。
ここでは、短編創作までやっているのが2本、アイディアのみの提出が2本ということで、ややボリュームには欠けるのだが、創作はしっかりした、普通に読み応えのある短篇である。本文をうむうむと読んでからプロットを提示されることで、「えっこんな話だったっけ!?」と驚けるお得な作りでもあるのだ。
あとの対談でも指摘される通り、大塚メソッドは基本的に「行きて還りし物語」なのだが、この形式は解釈の余地広いなあ。

……定禅寺浮理(twitterID@toma_mori)「女体降る」
空から女の子が!という定型の話なのに、なんともまあ嫌すぎる。「人形」(ではないのだが)への愛し方も含め、順当な手続きを踏んで進んでいく話が、最後に歯車がガタンと外れる。ラストのたたみかけは風呂敷をいそいそ畳んだ感はあるが、外枠の設置が上手いので読後感は良。

……どはつてん(twitterID@C_dohatsu)「暗視」
まさかのお話である。
面白くないはずはない設定なのだが後半三分の一が分かりづらいのが残念。特殊な視点であるのでやむを得ないかもしれないが、「個体」や「生物」を人称にするのは無理がある。
読み終わってからプロットを見ると、言われてみればなるほどなぁ、と思うような、でもやっぱりこんな話じゃなかったよね!?みたいな、そのへん作者の話の組み立ての思考の痕跡が垣間見えるようで面白い。還る先、そこかぁ……。こうとしか終われないだろうなぁというラストでもあり、定形でもあり。尤も、定型には定型の美がある。

……アイディア2本
壮大すぎると書けない。っていう。

……座談会
実際に創作マニュアルで提示された方法を試してみた人たちの感想というか舞台裏を聞けるのは、単純に楽しかった。一方で、ぶんがくてきこだわりがある人たちが大塚英志を試したら、それはまあそうなるだろうなあ、というくらいの感じもなくはない。

……(自由創作) 定禅寺浮理「ホルマリン漬けの君」
抱腹絶倒した!
正直、親切な小説ではない。ぱっと見たところでは、文章についてなど、上手いのは分かるが「こういう系」かぁ、と思ってしまうのだが、それがラストで結実するに至ってはもう脱帽するしかない。こんな見事な終わり方の小説久々に読んだわ。それにしてもひどいラストであるが。
この短編を人に薦めようと思ったのだが、説明のしようがなかった。そういう小説である。


文責:as

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:3 ゾンビ!

第14回文学フリマ戦利品感想、第三回。今回はゾンビ本で一エントリ使っちゃうよ!

カタリタガリナ+bnkr

『bnkrR vol.4』 (¥1000、200p)
質の高いゾンビ同人だった。つまり、同人ならではの、「ゾンビ×○○」というのにきちんと意識的だった。
各話ごとについている評価軸(お食事度、バイオレンス、など)に「エロ」があるんですが、R18のものも含めて別に一向にエロくはないです。だがそれがいい。

……鳥井雪「ZBL」
これが良すぎた。導入部からの急転直下、きっちりアクション描写に古典的カタストロフ、青春感ばりばりの駐輪場でのラスト、そしておやじギャグで締める。これで18ページかよ……。落ち込むくらい面白いわ……。
(以下ややネタバレ) ちゃんと、ゾンビでしかできない恋愛小説をやっていたと思う。「○○をよみがえらせるのは」のとことか、ちょっとクサいけど、いいじゃん! こういう比喩が読みたくて小説を読んでるってところ、あると思う。

……松永肇一「ゾンビとジョブズと出荷」
出落ちもいいところ、っていうかこの設定で面白くないわけない。ちゃんと歴史小説(?)としての考証もしているあたりが素晴らしい。そういうリアルと、オタクや女格闘家やらの戯画化とがうまくハマっている。実にアメリカーンである。

……ソーシャルキャピタル」「俺の嫁がゾンビなんだが〜」「労働する死者たち」
とりあえず、ゾンビじあゃない……!
『「ゾンビ的なるもの」とはなにか』みたいな思考実験みたいなものという意味では、「労働〜」あたりは着想としては順当なんだろうけど。と言うかこれも出落ちもといタイトル落ちだな……日本におけるゾンビパロとして、タイトルを見た瞬間膝を打つ。ゾンビの如き現代人/近未来人/女たち。

……稲荷辺長太「異説 振袖火事」
なるほど、ここまでの大規模なゾンビ禍を、一体どう収集つけるんだろう、と思ったら、ちゃんと歴史小説として整合とれるんだなぁと単純に感心。怒涛の展開がしばしば見られるし、キャラ設定のえええ感はすごかったが、とにかく思い切りが良かったので乗り切られてしまった。

……「ヨミちゃんと一緒」「ひみつ、ゾンビ、夏祭り」
少女部門。ぎりゾンビ……かな……。最近はこの手の、段々自我を失っていくゾンビもゾンビに含むようですからね。というのの裏をかいた感のある「ヨミちゃん」、読後感最悪で面白かったです!

……迷路平蔵「子供たちは屍人と遊ぶ」
ゾンビ屋れい子』を思い出した。設定もだけどあのなんか、ここまでやられちゃツッコめねーよ感。なにをいい話やってんだよぉぉぉ!
カタカナで語られる夜と凄惨な昼とのズレが、やがて現実に収束し破滅を呼ぶのかと思ってびくびく読んでたらそんなこともなかった。

……比留間史乃「ゾンビモデルジェネレーション」
後回しにしてしまったけど、これが入っているからこそこの冊子には価値があると言っても過言ではないかもしれない。ゾンビ布教を目指すなら、こういうのは雑誌として必須であろう。論自体もよく考えられている。これをベースに色々語れるだろうなぁ。語りたいなぁ。

……まとめ
掲載作品はそれぞれにカラーもやり口も違ったが、どれも「ゾンビ×○○」というのを明確に示すことができるし、文章のレベルは全体としてかなり高い。みんなちゃんとゾンビが好きで書いてるんだろうなって思えるし、なによりこのボリューム! 大変お買い得な一冊でした。


文責:as

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:2 ちらほら

第14回文学フリマ戦利品感想、第二回。今回は薄手のものを四冊ほど。

サークル「新詩抄

池田陽(twitterID@oncan21)『アーキスとガラテイア』 (¥500?, 96p)
ギリシア悲劇を模した創作。この納得いかねー感はまさに本物そっくりなのである。ただ古代ふうにするにはキャラの感情がやや複雑すぎるような。
四幕の構成とか、ちょいちょい移動する場面設定とか、根本的には古典を素直になぞっているわけではないし、男女のやりとりあたりはむしろシェイクスピアでも読んでいる気分になったが、最後のデウス・エクス・マキナととってつけたような人生訓は実にギリシアですな!

サークル「原廠設計局」

佐久原廠(twitterID@Tamagawa_HQ)『ソ連が街にやってくる』 (また値段忘れちゃいました。100〜300円のどこか)
もう少し時間をかけて読まないと、多分私にはちゃんと理解できないのだとは思うけれど、決戦シーンには作者のときめきを感じられた。やっぱ愛だよね。
この方のものは以前にもちょっとだけ読んだことがあるが、仮想戦記もの、空想歴史ものとして、導入部分の持って行き方がいつも大変考えられていて、大いに学びたい部分がある。うまい。

サークル「ダグ&デイブ」

間宮篤(twitterID@kasaya_ani)『介良先輩と四つの事件』 (¥100、56p)
飲み会ミステリ短編4.5本、内1本は伝統的な「犯人当て」。
「名探偵とはなにか」、という命題が、近頃のミステリ界ではなかなか重要なようだけれど、その一つの形としての介良先輩が、回が進むごとに進化していくのが面白い。
(以下ネタバレ) 作中、結局一度も犯人は告発されない。介良先輩にはそんなことは関わりのないことだからだ。唯一犯人が捕まるであろう1編でだって逮捕劇は描かれないどころか犯人との対峙さえないのだから、この構図は徹底している。まさに「飲み会シリーズ」なのである。

アンソロジー『円盤図鑑』 (¥100、70p)
日常の謎から中世ミステリからサスペンスホラーまで6篇……なのだが、最後でちゃぶ台返しっていうかテーブルクロス抜いて皿ひっくり返るみたいなラストを迎える作品が多くて、多いというか読了した瞬間はほとんど全てだと思ってた。そうでもなかったけど。
冊子としてのカラーはある程度打ち出せていたと思うので、全体としては楽しめた。メフィスト好き向きだろうか。

……間宮篤「柳谷くんの静かな生活」(日常の謎)
まさかの系。「日常の謎」という言葉を逆手に取った、こういう世界観、好きですよ。2話からなる連作だがいくらでも続けられそうなくらい、柳谷くんはブレない。っていうかもうちょっと続けてほしかった。2話という分量は微妙。
謎解きは理論的と言えるのでは。まさかの……だけど。

……蟻田愛「緑鏡」(怪奇ミステリー)
導入部はなかなか引き込まれるものがあったが、終盤は駆け足になってしまっていた印象。視覚情報の描写がもうひとつ飲み込みづらかったのが残念。女性の一人称の語り口でキャラクターを分けるのは難しい。

……菱野隆弘「縦横無尽」(実験小説)
ちょっとした回文さえいつも感嘆のまなざしで見ている私には、「縦横どちらからでも読める」これは驚愕の見開きだった。思わずぐるぐる回してしまった。ただこれ、形式はすごいのだが、文章内容は把握できなかったんだけど、もうちょっとしっかり読むべきだっただろうか。

……相原糸「緑柱石の誉」(中世ミステリー)
洋物。謎解きの過程が独白で進むのだが、主要登場人物以外の声も聞きたかったかな、と思う。ミステリとしてはごくストレートな話かと思われるが、せっかくこの世界観でこういう話をやるのなら、色気のある文体や心理描写が欲しいかも。
個人的には、このたぐいの舞台でミステリを書こうという作者さんには、是非頑張っていただきたいところである。

……甘木史人「音の記憶」(伝記ホラー)
民俗もの好きだから甘くなるけど、設定と話の筋は面白い。「音」モノを小説でやるのは大変だわな。でもかなり頑張っていたと思う。太鼓の音や笛の響きが聞こえてくるよう。唄の頻度も適切だったと思う。
どんでん返しの説得力は、筆力で押し切るしかない部分かと。あと一歩感残る。

……井野隆弘「青龍館殺人事件」(合作探偵小説)
合作と言うが形式が説明されていないので普通に通しで読むものとして読むけど、事件のあらましもめちゃくちゃだし後半の突然のサイコ系展開もオチも「ええええ」としか言いようがないが、それはちくしょうやられたという感覚である。笑って冊子を閉じられるのは「青龍館〜」のおかげという部分はあるだろう。あるだろうけどこれはひどいなーくそー!


文責:as

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:1 百合篇

第14回文学フリマ戦利品感想、第一回です。
実は前回の購入リストには載せていなかったのですが、訳あって今回、百合本と名のつくものを買いあさりました。
百合小説って、これまでほとんど読んだことがなかったです。
部外者の一読した感想ということで、たぶんいろいろ分かっていないんだろうなぁと思いますが、それはそれでそんなもんとして、以下感想です。

サークル「詩架」

『夢想』 (FP, 20P)
二篇中第二篇は、定型の物語を特に変更しているわけでもないが、「性」と「子宮」の描写は頑張っている感。二篇とも、そう長いわけではないのだが文章がみっちりしているので、第一篇の長さだと少し疲れてしまった。解説でうまいこと言って収拾つけたなって。
ちなみにサークル紹介文では百合とあったのですがこの冊子は百合ではなかったです。購入物の選択ミスったかな。

サークル「ぷよまん

ぷよまん THE 3rd』 (¥300, 72p)
百合2本+BL3本+漫画2本。全体に若々しい。そして世知辛い……。5本あってハッピーエンドが一個もないので疲れた。テーマ設定があるわけではないのだが、「循環」や「繰り返し」がキーワードなのかな、という感想。読み終わって振り返ってみれば、それは百合・BLに共通するキーワードなのかな?
あと、百合がもう一本はあるとバランス的にもボリューム的にもよかった。

サークル「百合人@文藝白目

『ユリスト 第0号』 (値段忘れちゃいました。FPだっけ? 48p)
企画が良。「百合イズパンク」! インタビューや対談をやってみたという姿勢を評価したい。インタビューの回答者はやや偏っていたのではないかという感じはなくもないが。「NL(ノーマルラブ)展開には甘えがある」は至言。
創作は全体として、百合だけど普通に恋愛をしていた。イタイとこも気持ち悪いところも面倒くさいところも。そういうの、結構好印象。

サークル「ふぇにどら!!

『ドラマティック★マスターベーション7』 (¥500, 128p)
セックス描写って、ぶっちゃけ飽きる……。いままで文章でエロってあんまり読んだ事がなかったのだけど、それが正直な感想である。
とりあえず、百合セックスとは潮の満ち引きなのだなあ、と思った。侵害とか侵犯とか足し算とか引き算とかは無しの。


百合入門としては、『ユリスト』の創作が読みやすかった。恋愛小説さえ普段ろくに読まない私のような人間にも、なかなか楽しく頂けました。
今回の百合は多分こんなものだったと思うのですが、他にもこんな百合本出てたよ!というのをご存知の方は是非教えて下さい!

文責:as

不参加メンバーによる第14回文学フリマ感想:序

5月6日の第14回文学フリマ終了から三週間余りが経とうとしている今頃になって、こんなタイトルをつけた記事を更新しようとしています。
『aBre』はこの数号、人が増えたりゲストを招いたりいつのまにか見かけなくなったメンバーがいたりしましたが、誌面不参加メンバーも実は結構、文フリ会場には出没したりもしておりました。
そんないち冬眠中メンバーによる、第14回文学フリマ戦利品の感想を、ちょっと記録していきたいと思います。

まずは以下に、購入したものと、購入へ至った動機を一言で。(サークル名は敬称略)

まずは馴染みの深い筑波批評社『logical cypher scape on paper』(FP)。
つくば勢からは他にも元無線部こと筑波大文妄『妄点 vol.3』(10円)を、
ロケハンブログ制作委員会『つくばの廃墟 vol.1』(300円)を出品していたのでこちらも購入。
それから、メンバーの一人でもある間宮篤氏が店番をやっていたのを発見して、サークル「ダグ&デイブ」のミステリ&ホラーアンソロジー『円盤図鑑』(100円)と間宮篤『介良先輩と四つの事件』(100円)を購入。
いつも見てますファンです!なサークル枠で、
カタリタガリナ+bnkr『bnkrR vol.4』(1000円)、今号はゾンビ特集号。ゾンビですよ!ゾンビ!!ひゃっほう!!!
東北大のずんだ文学の会 (twitterID@zunda_bungaku)の『ずんだ文学 第六号』(700円)はいつも丁寧な企画で、今回は創作マニュアル本のレビュー集。大学サークル同人でちゃんと雑誌を雑誌として組んでいるところは尊敬します。
ナタリー (twitterID@watarisaeko)ではいつも創作を買っているのですが今回は毛色が変わって太宰治特集本『ただ、いっさいは過ぎてゆく』(100円)。見た目がなかなか素敵。
黒死館附属幻稚園、以前のシリーズ中の幻想建築特集号がとても面白かったのですが、今回の出店から『DUKDUK vol.1』(500円)という新雑誌が始まりました。
ミステリ枠として買ったのは、今回は一冊だけ。
エアミステリ研究会  (twitterID@airmys_dj)の『Airmys 非実在 探偵小説研究会 3号』(700円)。
それから、文フリもいろんなジャンル増えたよね!ということで、見かけたおもしろ本をぱらぱら買ってみた。
給水塔グラビアが目を牽く、季節外れの気まぐれサリンジャー (twitterID@kksalinger)の『遠い異国のころがる団地』(300円)。 建築サークルでは、今回は購入したのはこれだけですが、幾つかありましたね。
ハシビロコウさんが載っていたので買った、猫紫『地球の生き物エッセイ』50円。音楽本にも手を出してみた、双葉文学カフェ『FLOWORDS music supplement』(100円)。
建築系が増えてきたのは楽しいけれど、個人的には美術系ももっと増えてほしい! というわけで、アートと文学の情報誌chelsea (twitterID@chelsea_net)の『chelsea vol.zero』缶バッヂつきで350円。なかなか作り込んだ誌面。
あと、今回一番盛り上がっていた企画はやはりこれでしょう、非公式文学フリマガイドブック小説ガイド編集委員会による『非公式文学フリマガイドブック小説ガイド』(200円)。結構あちこちに置いていました。こういうのはやはり、最初にどのくらい浸透させられるかっていう部分があると思うので、シンプルな作りにちょっと小さめのあまり文フリでは見ない版、そして複数のサークルが参加したというのが、良かったですね。順調な滑り出しだったのでは。
これを見て買ってみたのが、 朝顔ダブルピース/文芸サークルコロンブレの『LASSO 特集:消える』(200円)と、新詩抄 の池田陽(twitterID@oncan21)『アーキスとガラテイア』(300円)。文フリで戯曲って私は初めて見ましたし、しかも古代シチリアものとくれば、買うしかない。
あとはぶらぶらしながら買った物。
友人が参加するサークルCの『C 01』(200円)と、横浜国立大学メディアスタジオの『NOW PRINTING No.2』(400円)。ウテナ論だの雑誌特集だの、買うしかない。
早稲田大学教育学部国語国文学会創作部会 (twitterID@wasesou)にて販売の『WASESOU 3号』(100円)とトイレ 1号』 (twitterID@tadanoomosa) (400円)、WEB文芸誌「窓辺」『文芸誌窓辺 創刊号』(FP)、日本大学芸術学部 文活サークル「ミチ」の『michi 02』(FP)は、誌面ぱら見で気に入って購入。デザインってやっぱり大事。
一方タイトル買いで、英国ゴシック文庫の『アナコンダ』(たしか500円)。 『マンク』の作者マシュー・グレゴリー・ルイスの未紹介のオリエンタル・ゴシック小説の初邦訳に挑戦という冊子。この手の同人誌って文フリでもたまに見るけど、翻訳同人、可能性は広いのでは!

文学フリマ全体に対して、会場二周ばかりして思うのは、ミステリが今回なんだか弱くなっていたような……。SFももっと増えてほしいぞ! 短歌と詩歌は私はあまり買いませんが、しっかりやっている印象。
翻訳と美術は、今後の増加に期待したいところ。建築と舞台はこの調子で頑張ってください。
あとなんか、サブカルゆるふわゆとりっ子系おされ雑誌増えてきたからそろそろ戦国時代に突入してもいいと思う。と言いつつ、まあ買うんですけど。

以上が、購入品目リストでした。
既に読んだものもいくつかはあるので、随時感想をupしていきたいと思います。
秋の文学フリマへ向けて密かにaBreも動き出している今日この頃ですが、しばらくおつきあいください。
暑くなる頃までに、どれだけ読めるかな……!

文責:as

第14回文学フリマ終了!皆様、ありがとうございました

祭りのあとの寂しさに、しばし腑抜けになっていたtuです。
先の日曜日に行われた、文学フリマ。無事、新刊を発売することができました。
今回、印刷所に依頼し、初のオンデマンド本となったaBre。実は会場への直接搬入をお願いしていたため、メンバー一同、印刷され、製本された新刊を手に取るのは当日が初めてだったのです。
aBreのメンバーの多くは、大学の文芸サークルのOB・OGなどで構成されています。
学生時代にもオフセット本を作ったことはありましたが、久しぶりに「本」になった己が原稿と対面すると感激もひとしお……「もう、売れなくても、いいか……」そんなわけないだろう!
そういうわけで特にきんきんと響く声で、やかましく押しつけがましいセールスを行っていたのがtuです。
周囲のブースの皆さんには、大変なご迷惑をおかけしたと思います。とても、とても反省しています。

そんなこんなで、今回は販売用として用意した40部のうち、23部の売り上げがありました。
またバックナンバーを手に取ってくださる方もいらっしゃって、内容にご満足いただけたか、気になるところです。
今週末には反省会&次回への構想ミーティングも控えています。
次回も!出るぞ!出るよね?(メンバー一同を見渡す)

私個人もいくつかお買い物をさせて頂きました。
これらの戦利品についても、積極的にレビューをしていこうと思っています。

それではまた、次のミーティング報告にてお会いいたしましょう。
ばいきゅー。

文責:tu